解説

ブルース・リーと友情を交わし、ジャッキー、サモ・ハン、ドニー…、
伝説たちと拳を交えた、国際的アクション・レジェンド、倉田保昭。
その代表作がスクリーンに蘇る!

今から50年前、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』の大ヒットで日本列島を“ドラゴン・ブーム”が席巻し、1年間に約30本の香港製クンフー映画が公開された。その中で唯一、ハードなアクションをノンストップで繰り広げ、ブルース・リー主演作に匹敵する人気を博して大ヒットしたのが、倉田保昭が最強の悪役ブラック・ジャガーを演じた『帰って来たドラゴン』だった。だが、アクションを芸術にまで高めたとさえ言われたその傑作は、マスターネガの損傷により再上映やHD化が不可能といわれ、長らく幻の作品となっていた…。

 

製作・監督・脚本を手掛けたウー・シーユエンは、『ドランクモンキー/酔拳』を製作してジャッキー・チェンをブレイクさせた他、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱』、『グランド・マスター』など、香港映画史に残る重要作品を数多く製作し、香港映画監督協会永遠名誉会長を務める香港映画界の超大物。その彼が自ら、「倉田保昭日本凱旋50周年」のため、現存する最良の99分完全版マスターから2K化を行い、『帰って来たドラゴン』は遂に日本のスクリーンに奇跡の復活を果たすことになった。

 

主演のドラゴンを演じるのは、本作のアクション監督でもあり、『無敵のゴッドファーザー/ドラゴン世界を征く』や「闘え!ドラゴン」「Gメン’75」でも倉田保昭と激闘を繰り広げ、『カンフー・ハッスル』、『燃えよじじいドラゴン 龍虎激闘』など近年も現役で活躍する倉田と並ぶ香港のアクション・レジェンド、ブルース・リャン。出演は他に『蜀山奇傅 天空の剣』、『レディ・ハード/香港大捜査線』のマン・ホイ、『ドラゴン怒りの鉄拳』、『悪漢探偵』のハン・クォツァイ、『ゴッド・ギャンブラーⅢ』、『黒薔薇VS黒薔薇』のウォン・ワンシー、『ドランクモンキー/酔拳』、『男たちの挽歌2』のディーン・セキなど。

これまで日本で発売されたVHSやDVDはディーン・セキの出演シーンがカットされた92分短縮版だったが、今回そのシーンが復元されて《2Kリマスター完全版》での公開となる。

物語

清朝末期。麻薬や人身売買など、あらゆる犯罪と暴力が渦巻く悪の魔窟、金沙村(ゴールド・サンド・シティ)。悪辣なボス、イム・クンホーが支配するその街にやってきた1人の男。巷にはびこる悪を懲らしめながら流浪の旅を続ける正義の好漢、その名もドラゴン。彼にはある目的があった。旅の途中、ドラゴンは2人組の盗賊リトル・マウスとブラック・キャットに襲われるが、鮮やかな機転と華麗なクンフー技でそれを退け、逆に2人の盗賊はドラゴンに弟子入りして旅を共にしていた。ドラゴンと2人の弟子が金沙村に到着した頃、イーグルと呼ばれる伝説の女格闘家もその街にやってきた。彼ら全員の狙いは“シルバー・パール”というチベットの寺院から盗まれた秘宝にあった。そして、もう1人、金沙村のイムを訪ねてやってきた謎の男、ブラック・ジャガー。彼こそ非情な殺人空手の使い手として恐れられる格闘家で、彼が肩に背負い、運んできたものこそ秘宝“シルバー・パール”だった。やがて、“シルバー・パール”を巡り、ドラゴン、ブラック・ジャガー、イーグル、リトル・マウス、ブラック・キャットら最強の強者たちが腕を競い、壮絶な激闘と騙し合いを繰り広げながら、果てしない争奪戦が続いていく…。

コメント

あなたは香港映画の伝説であり続け
今も偉業を積み重ねていることは凄いことです。
日本凱旋50周年をお祝いし、
『帰って来たドラゴン』の大成功をお祈りします。
ジョン・ウー(映画監督)

あなたと初めて共演した時、武術の腕とアクションの美しさ、
頼んだアクションを完璧にこなすクレバーさに感心したのを
覚えています。あなたと一緒に仕事が出来て本当に嬉しかった。
ぜひまたやりましょう!
サモ・ハン(俳優、映画監督、アクション監督)

最新作の短編『夢物語』を見せていただき、
キレのある、力強いアクションに感銘を受けました。
クンフー映画の名作中の名作『帰って来たドラゴン』と
この最新作が同時に上映されることは、とても意義のあることです。成功をお祈りしています。
ツイ・ハーク(映画監督)

『帰って来たドラゴン』は、香港映画の歴史の中でもとても重要な作品です。闘って闘って、走って走って、さらにまた闘ってのマラソン・ファイト。観て貰えればわかりますが、凄い、本当に凄いです。是非、劇場に足を運んで観ていただきたいと思います。
谷垣健治(アクション監督、映画監督)

『帰って来たドラゴン』は、倉田先生の出演された映画の中でも特に大好きな映画です。先生とブルース・リャンが蹴りを交差させている写真を最初に見て、さらに映画で実際に動いている姿を見て衝撃を受けました。パルクールの要素も入っていたり、今見ても楽しめる作品だと思います。
小池達朗(アクション監督、アルファスタント代表)

『帰って来たドラゴン』は、カメラ・アングルやカット割りで逃げずに倉田先生とブルース・リャンが延々と立ちまわりをやっているのが素晴らしいです。何度も観ていますが、劇場では見たことがないのでワクワクとドキドキでいっぱいです。
坂本浩一(映画監督)

『帰って来たドラゴン』は、とにかく倉田先生とブルース・リャンの身体能力と運動量だけで見せ切る、アクションの熱量が半端ない映画です。これだけ激しく走ったり、跳んだり、蹴ったりする映画は観たことがなかったです。観終わったら後は、必ずパワーを貰えると思います。
下村勇二(アクション監督、映画監督)

「私の目に狂いはなかった。50年前に私が見抜いた通り、
倉田保昭は香港映画史に残る伝説となった」
ウー・シーユエン(「帰って来たドラゴン」監督、香港映画監督協会永遠名誉会長)

プロフィール

倉田保昭(ブラック・ジャガー役)
Yasuaki Kurata

1946年3月20日、茨城県出身。日本大学芸術学部演劇科を卒業後、東映撮影所の研究生となる。人気のテレビドラマ「丸出だめ夫」でテレビ初出演。67年に佐藤純彌監督の『続・組織暴力』で映画デビューした。70年に香港のショウ・ブラザース社のオーディションに合格し、『続・拳撃 悪客』(71)で香港映画デビューし、一躍人気を得て数多くのクンフー映画に出演。74年に『帰って来たドラゴン』(74)を引っ提げて日本凱旋を果たし、日本でも映画、テレビに大活躍。テレビシリーズの「闘え!ドラゴン」、「Gメン‘75」は、今も根強い人気を誇っている。76年に倉田アクションクラブを設立して人材育成を行い、数多くの映画、テレビ番組のアクション・コーディネートを手がけ、創武館道場で空手の指導を行ってきた。85年に倉田プロモーションを設立。その後も香港映画をはじめとした数多くの海外作品に出演して国際的に活躍、『七福星』ではジャッキー・チェン、『セブンス・カース』ではチョウ・ユンファ、『フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳』ではジェット・リー、『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』ではドニー・イェンと共演した。90年代にはオリジナルビデオ『静かなるドン』、『となりの凡人組』シリーズで人気を博した。89年には自ら企画、原案、プロデュース、アクション監督、主演を行った『ファイナル・ファイト 最後の一撃』を製作、日本、欧米を含む世界50か国で劇場公開され、大ヒットを記録。02年にはプロデュース第2作目の『黄龍 イエロードラゴン』を中国で製作、11年には第3作『レッド・ティアーズ』を製作、第24回東京国際映画祭・日本映画ある視点部門で上映された。17年には中国映画『戦神 ゴッド・オブ・ウォー』で第24回香港電影評論学会大奨の最優秀男優賞を受賞し、第35回香港電影金像奨での男優賞にノミネートされた。また、製作総指揮を務め主演最新作となる短編『夢物語』(2023・中村浩二監督・15分)は、第11回レイクシティ国際映画祭(インド)で最優秀短編映画賞、第20回アジアサマー映画祭(スペイン)で特別賞を受賞した。著書に「和製ドラゴン放浪記」(国際通信社)があり、同書は「ヤングチャンピオン」誌上で「王道ドラゴン」として劇画化された。「和製ドラゴン放浪記」は「帰って来たドラゴン」と改題され、『帰って来たドラゴン』の再公開に合わせて倉田プロモーションから再販される。

ブルース・リャン(ドラゴン役・アクション監督)
梁小龍(Bruce Leung)

1948年4月28日中国、広東省中山市生まれ。15歳で武術を学び始め、その後映画界入りしてスタントマンや武術指導担当として数多くの作品に携わり、さらに本格的な武術のできる主演スターとして人気を博す。70年代にはブルース・リー(李小龍)、ジャッキー・チェン(成龍)、ティ・ロン(狄龍)と並び、“四龍”の1人と呼ばれた。ウー・シーユエン監督に見出され、1972年に『必殺ドラゴン・鉄の爪』で初主演が果たすが、同作はアクションが過激すぎるという理由で香港では上映禁止となり、1975年にようやく公開された。『帰って来たドラゴン』(74)、『無敵のゴッドファーザー/ドラゴン世界を征く』(74)など、倉田保昭との共演作が、日本で立て続けに公開され、同じく倉田が主演した「闘え!ドラゴン」や「Gメン’75」などへのゲスト出演で日本でも人気を獲得。香港や中国では『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)のテレビドラマ版「精武門」(76)、「大俠霍元甲」(81)、「陳真」(82)、「陳真後傳」(01)などで陳真役を演じたことで知られている。90年代にはしばらく映画出演から遠ざかっていたが、チャウ・シンチー監督、主演の『カンフー・ハッスル』(04)で完全復帰、『燃えよ!じじぃドラゴン』(10)での好演も好評を博した。その後もコンスタントに香港や中国の映画やインターネット映画に出演して現在も現役である。主な出演作には他に、『アンジェラ・マオの女活殺拳』(72)、『アンジェラ・マオの破戎』(77)、『ジャッキー・チェンの燃えよ!飛龍神拳/怒りのプロジェクト・カンフー』(78)、『キョンシーの大逆襲』(88・兼監督)、『チャイニーズ・ゴースト・バスターズ』(88)、『カンフー無敵』(06)、『軍鶏 Shamo』(06)、『カンフーシェフ』(08)、『さそり』(08)、『太極-ゼロ-』(12)、『ドラゴン・コップス-微笑捜査線-』(13)、『カンフースタントマン 龍虎武師』(21)などがある。

ウー・シーユエン(製作・監督・脚本)
呉思遠 (Wu See Yuen)

1944年4月22日中国、上海市生まれ。1966年にショウ・ブラザースに入社し、ジミー・ウォング監督、主演の『吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』(70)など、数多くの作品で助監督を務め、羅臻監督作『瘋狂殺手』(71)で執行監督を担当。72年の『蕩寇灘』で単独監督デビューを果たし、倉田保昭が出演した『餓虎狂龍』(72)、『猛虎下山』(73)などがヒットして注目の監督となった。続いてブルース・リャン、倉田保昭コンビによる『帰って来たドラゴン』(74)、『無敵のゴッドファーザー/ドラゴン世界を征く』(74)で国際的成功も収め、76年にはブルース・リ(ホー・チョンドー)主演の『ブルース・リー物語』、80年には『死亡の塔』を監督した。78年に製作した『スネーキーモンキー/蛇拳』と『ドランクモンキー/酔拳』でジャッキー・チェンをブレイクさせた他、『蝶變』(79)、『カニバル・カンフー/燃えよ!食人拳』(80)ではツイ・ハークの監督第1作、第2作を製作、真田広之主演の『龍の忍者』(82)、ジェット・リー主演の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱』(92)、ウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』(13)など、香港映画史に残る重要作品を数多くプロデュースした。また、ジャン=クロード・ヴァンダムを発掘した『シンデレラ・ボーイ』(86)や、『レイジング・サンダー』(87)、『キング・オブ・キックボクサー』(91)など、国際市場向け英語作品を数多く製作して香港映画の国際化にも貢献、同時に中国大陸での撮影や中国からの出資作品にもいち早く取り組んだ。香港映画監督協会の会長を長年務め、現在は永遠名誉会長の香港映画界随一の大物映画人である。

夢物語

第11回レイクシティ国際映画祭(インド)最優秀短編映画賞受賞
第20回アジアンサマーフィルムフェスティバル(スペイン)特別賞受賞

『夢物語』(2023年・15分)

主演・製作総指揮:倉田保昭
出演・監督:中村浩二

田中平蔵は定年退職した元公務員。妻は数年前に旅立ち独り暮らし。最近、平蔵は自分が経験した事のない不思議な夢を見るようになる。ある日、平蔵は夢で大勢の忍者に襲われ・・・間一髪のところで目を覚ます。

『夢物語その2』(2024年・15分)

主演・製作総指揮:倉田保昭

昼寝をしていた老人が夢を見る。老人は孫と庭で遊んでいたが、孫は老人がトイレに行っている間に、何者かに連れ去られてしまう。老人は孫を助けるべく、命がけでアジトを捜し出し、格闘の末、孫を救い出す。

ページトップへ戻る